前歯の叢生・上顎前突(軽度)の矯正治療例(10代女性 治療期間2年)
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
前歯の叢生・上顎前突(軽度)の治療例(Before&After)と解説
年齢・性別 | 10代女性 |
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治療期間 | 2年 |
抜歯 | なし |
治療費(税込) | 330,000円 |
備考 | 治療方法:マルチブラケットストレートワイヤーテクニック |
「歯並びを綺麗にしたい」を主訴に来院されました。初診時の状況では、臼歯部から前歯部におけるかみ合わせに関してはおおむね良好であると考えました。主訴である前歯部に僅かな叢生と軽度の上顎前突が見受けられるため、改善を図る治療計画を進めました。上顎前突部に関しては上顎が前に出ているというよりは、むしろ下顎が後方に位置することで上顎が前方に出ているように見えると考えます。初診時の横顔と治療後の横顔を見比べると、治療後の下顎の先端の位置が、初診時の下顎の位置よりも前方に位置している事が分かると思います。
治療方法は基本的にはストレートワイヤーテクニックを用いました。必要な部位にはワイヤーを曲げて力を加えていきます。このケースでは、臼歯部の歯列が舌側に傾斜しながら歯列を形成しています。この傾斜を起こす力を加えることにより咬合口径(かみあわせの高さ)が上がります。この結果が下顎を前方へ誘導します(下の顎が前方へ移動していく)。そして上下顎の歯列を太いワイヤーにて拡大することで叢生に必要なスペースを確保していきます。
このケースでは患者さんの強い希望もあり2年で終了することになりましたが、臼歯部に関してはもう少し時間をかけて傾斜を消去することができたらと感じています。治療後半にかけては通常通り顎間ゴム(上顎歯列と下顎歯列にゴムをかけることで発生する力を利用して上下歯列の緊密なかみ合わせを獲得するために使用します。)を使用してもらいました。顎間ゴムは治療によっては不可欠な事があります。患者さん自身に毎日付け替えていただく必要があります。ゴムかけを怠ると良好な治療結果が得られません。その点今回の患者さんにおいてもしっかりとゴムかけをしていただき、良好な結果を得ることが出来ました。