極力抜かない・削らない
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
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できるだけ歯を削ったり抜いたりしない低侵襲な治療を行います
ナガイ歯科では、元から生えている歯(天然歯)を残すという「保存治療」を第一に考え、なるべく歯を傷つけることのない低侵襲治療(ミニマルインターベンション)を行うよう心掛けております。天然歯は一度削ったり抜いたりしてしまうと、再生はしません。加えて口の中との親和性の高いのは何と言っても天然歯なのです。そこで低侵襲治療とは具体的にどういったことを行うのか、以下でご説明致します。
歯を抜くことがどうしてダメなのでしょうか?
歯科医の視点から
- まだ歯としての機能を果たせるかもしれない。
- 歯を抜くことで他の歯に悪い影響が出てしまう恐れがある。
- 抜く歯が入れ歯やブリッジの支えになっている場合、入れ歯やブリッジを新しい物に交換しなければならない。
- 歯を抜くことが患者さんにとってリスクになる(抜歯できない薬の服用がある、血が止まらない、心臓への負担、抜歯後の麻痺、不安の増幅etc)ことから。
患者さんの視点から
- 歯を抜きたくない(痛いから、怖いから、歯の数を減らしたくないからetc)
上記以外の理由もあると思いますが、おおまかにこれらの理由から歯を抜かないでおくことが、歯科医、患者さんの双方の意向をもって行われます。
その後の問題
歯を抜かない理由に対して、歯を抜く理由も多々あります。
歯を抜かなければ起きるであろう問題ついて
- 歯の周りが腫れる、腫れを繰り返す、腫れが退かない
- 痛くなる、痛み止めを飲んでも効かない、痛みが激しくなる
- 出血する、出血が止まらない
- 膿が出る、膿が止まらない
など様々な症状が起こる可能性があります。
歯を抜く必要がある場合、そこにはそれなりの問題があります。歯を抜かない事はその問題を抱えたままになる事があります。したがって歯を極力抜かないようにする事は、歯を抜かないと起こるであろう問題を歯科医がしっかりと説明して、患者さんに理解していただく事です。歯科医と患者さんとの間でコンセンサスが得られている事が最も重要であると考えます。いわゆるインフォームドコンセントですね。そうすれば何か問題が起きても、治療を円滑に進める事ができると思います。
歯を削らないようにするための8つの治療法とは
歯科治療において理想的といえるのは、一切削ることなく虫歯が治癒することです。しかし、患部を削ることなく治療を行うのは、残念ながら現代医学では非常に困難といってよいでしょう。そこで次善の策として、可能な限り削る分量を少なくするというものがあります。そのための取り組みとして、当院で行っているのが次の8つです。
① ドックスベストセメント
ミネラルの力を活用して虫歯組織の活性化を抑える治療方法をドックスベストセメントといい、虫歯組織をほとんど削ることなくして治療を行えます。もっぱらアメリカで盛んに行われている方法でもあります。
② 3Mix-MP法®
これは3種の抗生物質や抗菌剤(Metronidazole・Minocycline・Ciprofloxacin)を混ぜたもの(3Mix)を患部に詰めることで、虫歯菌を不活性化し虫歯を改善する方法です。虫歯の治療にとどまらず、全ての口腔内症状にも活用できます。歯を全て削らずに治療ができるため、歯を残すことができるのです。
③ 拡大鏡精密治療
拡大鏡を用いて視野を肉眼の数倍に拡大することで、患部を正確に把握し治療を精密に行うことができます。精密治療とは、削るべき部分のみを最小限に的確に削り、虫歯などの早期発見をして直ちに治療を行うことで負担の少ない処置を行うということです。当院では保険治療・自費治療を問わず拡大鏡を用います。
④ 虫歯検知液の使用
う蝕検知液と呼ばれる虫歯検知液を歯に塗ることで、虫歯部分だけが赤く染まります。これによって虫歯部分と健康な部分との境目をきちんと見分けられるため、余計な箇所を削らずに済みます。
⑤ 虫歯発見機(ダイアグノデント)
歯の表面に表れた虫歯は肉眼でも見分けがつきますが、歯面の奥に存在する虫歯はダイアグノデントというレーザー機器を用いることで発見します。歯科医による肉眼での診察のみでは見つけられない虫歯も、この器具を用いることで初期のうちに発見し治療することができるのです。
⑥ エキスカの使用
エキスカという耳かきのような器具を用いて、虫歯組織のみをきちんと取り除きます。タービンで削るだけではどうしても細かい部分まで虫歯組織を取り除けませんし、無理にタービンだけで削ろうとすると削り過ぎてしまいます。そこで細かい部分は手動で除去するのです。
⑦ 超極細ドリルの使用
歯を削る際のドリルには様々なサイズがあり、効率よく素早く削りたい場合には太いドリルを用います。しかし太いドリルでは細かい部分まで残すことができないので、当院では現在用いられている中でももっとも細いドリルを使用し、丁寧かつ精密に虫歯組織部分のみを削っていきます。
⑧ 予防歯科の推奨
削ったり抜いたりしない治療を推し進めていくと、究極的には予防歯科へと至ります。病気になる前にこれを予防してしまえば、まったく削らずにおくことができるからです。当院では歯の清掃や検診といった、虫歯や歯周病などの予防に対応し、予防歯科をお勧めしております。
歯を抜かないようにするための6つの治療法とは
インプラントや入れ歯、ブリッジといった、歯が抜けた跡を補うための手段はいくつかあります。ですがそれらの人工物はやはり天然歯に優るものではありません。そのため歯を抜かずに治療できるなら、そのほうがよいといえます。当院では可能な限り歯を抜かずにおくため、以下のような4つの方法を実践しております。
① 天然歯の活用(自家歯牙移植)
親知らずなどが生えている場合、それを活用することで人工物を入れずに歯を抜いた跡を埋めるという治療方法があります。全ての場合に行えるわけではありませんが、当院では抜けた歯を埋める方法としてまずはこの自家歯牙移植を検討します。望ましい条件が揃っていれば、天然歯を再活用して咬み合わせを復元させられます。
② 拡大鏡による精密根管治療
虫歯が重度にまで進行すると、歯の内部の神経や血管の通る穴(根管)にまで虫歯菌が浸透してしまうため、その根幹部分を滅菌する必要があります。この根管治療においては、徹底的な滅菌が虫歯の再発防止のために不可欠な反面、根管内は非常に細く複雑な形状をしているので、肉眼での治療は非常に困難です。そこで当院では拡大鏡を用いて視野を拡大することで、精度の高い根管治療を行っております。こうして虫歯の再発を防ぐことで、歯を抜かずに済ませられるのです。
③ 歯根端切除術および再植への対応
歯根端切除術というのは、歯ぐきを切開して根っこ部分の患部を除去する治療法をいい、再植術というのは一度抜いた歯から患部を除去した上で元通りに植え戻す治療法をいいます。どちらの方法もメジャーとはいえませんが、当院ではこうした方法も駆使しつつ天然歯を可能な限り残すよう努めております。
④ 歯科用セメントによる神経保存治療
歯科用の滅菌成分の含まれたセメント剤を充填剤として用いることで、虫歯を治療する際の殺菌効果を高めます。これにより再発のリスクが低くなり、将来的に歯を抜かずに済ませられることが期待できます。また神経が出てきた場合、この歯科用セメント(MTA)で保護することで、神経を抜き取らずにおくこともできるケースがあります。
⑤ 将来を見据えた根本治療の採用
現在生じている症状を抑え、治療することも大切ですが、どうしてそのような症状が発生したのかという根本的な原因をヒアリングによって見つけ出し、対処するという根本治療も大切です。予防歯科にもつながる考え方です。虫歯や歯周病に罹患する可能性が高い生活を送っている患者様には、具体的にどういった形で改善すればいいのかといったアドバイスも提供しております。
⑥ 重度歯周炎でも抜歯せず治療を検討
歯周炎が重度(P3)と判定されるには、歯槽骨の吸収が歯の根っこの長さの3分の2以上であり、歯周ポケットの深さが7mm以上であるという条件が必要です。この場合は通常なら抜歯によって治療を行うのですが、当院ではまずは歯周病の治療を試みることができないか検討し、歯を抜かないで済む途を探ります。
愛知県尾張旭市で歯を抜かず削らない治療をお求めの方へ
このようにナガイ歯科では、歯を抜いたり削ったりしない低侵襲治療へのこだわりを元に、患者様の将来の口内環境を重視しております。愛知県尾張朝市で歯科治療をご希望されている方は、ぜひ当院までお越しください。お待ちしております。