子どもの出っ歯の矯正治療例(11歳男子 治療期間3年)
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
子どもの出っ歯の治療例(Before&After)と解説
年齢・性別 | 11歳男子 |
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治療期間 | 3年 |
抜歯 | 上顎左右第一小臼歯 |
治療費(税込) | 440,000円 |
備考 | マルチブラケットストレートワイヤーテクニック(オーバージェット(出っ歯の量)が10mm以上) |
上顎前突の改善のため治療を始めることになりましたが、初診時、オーバージェット(出っ歯の量)が10mm以上あり、十分なスペースを確保する必要があることから、抜歯の選択となりました。また、下顎前歯部が下顎臼歯部より咬合平面に対して高い位置にあり、同じ高さにするように改善を図りました。
上下顎ともにリベリング(歯列を平らにする事)が終了したところで、上顎の小臼歯を左右一本ずつ抜歯しました。上顎小臼歯の抜歯後のEMS(出っ歯の前歯を中に入れる行為)では、下顎の後方回転、誘導を引き起こす懸念があるため、十分に時間をかけて弱い力で持続的にクロージングしました。顔貌もブレーキフェイシャルタイプとあって、咬合力の強さも期待できるために、上記のリスクも回避出来るであろうと考えました。
強い力をもって短期間でのEMSを図ることでのリスクは、特に抜歯ケースにおいては極力避けることが望ましいと考えます。治療期間が長くなることは、患者さんにとってネガティブな要素になりますが、リカバーが困難な状態に至らないようにするためにも、ある程度の治療期間の延長はやむを得ないことであると考えます。