叢生・上顎前突の矯正治療例(18歳男性 4年6ヵ月)
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
叢生・上顎前突の治療例(Before&After)と解説
年齢・性別 | 18歳男性 |
---|---|
治療期間 | 4年6ヵ月 |
抜歯 | あり(左側上顎第一小臼歯) |
治療費(税込) | 440,000円 |
備考 | ストレートワイヤーテクニック+エッジワイズテクニック |
初診時18歳で受験生ということもあり一時中断しながらの矯正治療となりました。なるべく歯を抜きたくないとの事で抜歯無しでスタートしました。
上段中央の初診時写真から分かるように、噛み合わせた時の正面写真では下の前歯がほとんど見えません。かみ合わせが深く、過蓋咬合と呼ばれるかみ合わせです。このために下の歯に矯正装置を付ける事ができないために、上顎から治療をスタートさせ、のちに矯正器具を付けることが出来るスペースを確保してから下顎の装置を装着することになりました。このケースにおいては装置の脱落が多く、安定するまで時間がかかる事があります。
叢生を改善するにあたり歯を並ばせるためのスペース確保が必要となりますが、今回は非抜歯でのスタートとなりましたので、左側臼歯の遠心移動が必要となりました。カリエースディスタライザー、ペンデュラムなどの遠心移動装置を使用し遠心移動を行いましたが、十分なスペースを確保する事が出来ず、結果抜歯の選択となりました。
この点が今回の治療期間の延長になる要因となりました。治療期間が長くなったとしても、スタート地点で抜歯を嫌がる患者さんには非抜歯治療の選択が望ましいと考えます。
一方で抜歯の是非よりも治療期間の短縮を望まれる患者さんもいます。このような患者さんの場合においては、スタート地点から抜歯の選択となることが望ましいと考えます。いずれにせよ5mm以上のスペース不足がある場合においては、抜歯の必要が出てくる可能性があるため、治療方針について十分に話し合うことがとても重要となります。