アライナーによる部分矯正治療例(10代女性 治療期間1年)
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
アライナーによる部分矯正治療例(Before&After)と解説
年齢・性別 | 10代女性 |
---|---|
治療期間 | 1年 |
抜歯 | 無し |
治療費(税込) | アライナー矯正 144,000円 |
備考 | アライナー使用個数11個 |
上段初診時写真になります。右側中切歯が前方に突出していることが分かります。
今回のケースでは、アライナー型矯正装置を用いての部分矯正治療となりました。突出した中切歯を中に入れるには歯と歯の間にスペースが必要となります。アライナー矯正治療においてスペース獲得のためにIPR法を用いました。矯正治療に必要なスペース量を分散して獲得するために、まず初めに犬歯と第一小臼歯の間からIPR開始、犬歯の遠心移動から行いました。
一つのアライナー矯正装置で歯を動かすことのできる量は、おおよそ0.2mm~0.3mm程度となります。IPR法により切削できる歯の削除量は0.4mm以下となりますので、毎回1歯あたりの歯の削除量が0.2mm~0.3mmとなります。歯と歯の間は、二つの歯のそれぞれの歯の側面からIPRを行うことができるので、おおよそ0.5mm程度のスペースをひとつの歯間から獲得することができます。
今回のケースは犬歯から始まり、側切歯までを遠心移動させる(横に移動する)ことで、突出している中切歯を中に入れることが可能となります。1ヵ月でアライナー1個のペースで進み、1年での治療終了となりました。アライナー矯正装置を用いた部分矯正の終わり方は、患者さんが満足した時点で終了となります。主訴が解決したと思われる時点が終了となります。治療まえに主訴をできるだけ明確にしておく必要があります。
IPR法・・・歯のエナメル質を僅かに削り、歯幅を小さくすることによって、歯が収まるスペースを作り出す処置。
遠心移動・・・歯をお口の奥側に移動することによって、歯が収まるスペースを作り出す処置。