ラミネートべニア法による前歯の審美修復症例
執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
ラミネートべニア法による前歯の審美修復の治療例(Before&After)と解説
上段写真が初診時の口腔内です。前歯のすき間と色を治したいという主訴の通り、左右上顎側切歯と左右中切歯との間にすき間があり、被せ物をしている中切歯との色の違いも浮き出ている状態にあります。一般的な治療であれば側切歯も被せ物を製作して装着することで問題解決しますが、ここでとても重要な問題があります。
左右側切歯は生きている歯ということです。歯の中にある神経組織が残存していることから有髄歯と呼ばれます。被せ物をするには歯を削る必要があります。その削る量は大変多く、歯を削り、被せ物をしたけれども、しみたり、痛みがでたりとトラブルが頻発します。
特に側切歯は歯の厚みが薄いために削る量も制限され、被せ物を装着したあとに神経を取る処置に至ってしまうケースが少なくありません。そこで今回行った、高強度接着性コンポジットレジン修復によるラミネートべニア法であれば歯を全く削る必要がなく問題解決できるため、今回の主訴解決に使用しました。
セラミック粒子を多く含有するコンポジットレジンを用いて、直接歯に接着するため従来のラミネートべニアで頻発する、長期経過後にセメントラインが浮き出て、歯との間に変色線が出現することもなく、色調も優れています。
また、通常ラミネートべニア制作は外注制作となるので費用も高くなりますが、この方法は医師が直接チェアサイドで製作するため、費用も安価に抑えることが可能です。また従来のラミネートべニアはセラミック単体のため、破折すると基本的には修復が困難となりますが、今回使用したコンポジットレジンであれば欠けたりしても、何度でも修復可能で、修復による色調変化もありません。
今回のようなケースにおいては、優れた適応方法であると考えられます。
年齢・性別 | 60代女性 |
---|---|
治療期間・回数 | 1日・1回 |
治療費(税込) | 高強度接着性コンポジットレジン修復 66,000円(33,000円×2本) |