一見すると上の前歯が出ている、いわゆる上顎前突であると分かりにくいですが、上段写真の側方面観を見ると、上顎前突の特徴である上の犬歯が下の犬歯と1歯対1歯の関係にあることが分かります。犬歯のみならず第一小臼歯と第二小臼歯も同様に1歯対1歯の関係にあります。

初診時の顔貌写真（横顔）を見ると下顎の前方への発育不足からなる後退位が確認できます。かみ合わせの関係を改善し、下顎の前方への誘導を行い、上顎前突を改善しました。下顎の前方拡大にはGUMMETAL（0.18ｘ0.22）ワイヤーを使用。上顎にはカリエールディスタライザーを使用して前突の改善を行いました。

下段治療終了時の写真から上下の犬歯が1歯対2歯の関係になっている事が確認できます。また治療終了時の顔貌写真から下顎の前方移動が確認できます。E―ラインに下顎が近接することにより審美的顔貌形態を獲得することが出来ます。今回使用したディスタライザーの治療法により抜歯することなく治療期間の短縮が可能になります。今回のケースも1年2か月で治療終了となりました。