どうして何度も虫歯になるの?
投稿日:2018年2月11日 執筆者:院長 歯科医師 永井伸頼
カテゴリ:院長ブログ
一度治療したはずなのになんでまた虫歯になるのでしょうか?
歯科医院で治療した経験がある方ならこのように思った事ありませんか?
歯は削らないことに越したことはありません!断言できますが、しかしながら虫歯が進行状態にある時はそうせざるを得ません。
虫歯は細菌によって引き起こされます。そしてその細菌は歯の中でどんどん繁殖していきます。歯の表層を覆うエナメル質と呼ばれる部分に限った虫歯であれば、比較的治療後の予後は良いと思われます。
しかしながらその下の組織である象牙質まで虫歯が進行すると一気に広がります。象牙質は有機成分を含むためエナメル質よりも柔らかく細菌が広がりやすいのです。
虫歯を完全に除去しようとすると、予防拡大といって虫歯を含む部分から虫歯が浸潤していない健康な部分まで余分に歯を削る必要があります。癌の除去と同じです。しかしながら象牙質のさらに下には歯髄といって歯の神経があるので、虫歯治療をしたことにより歯がしみたり、噛んだときに痛みが出るといったことがしばしば起こります。それを防ぐために、最近の治療理念として「MI:minimal intervension]と言われる理念のもとで治療を勧めることが重要視されています。最小限の治療介入という意味です。
虫歯を除去する際には、柔らかくなった感染した歯質は除去しますが、硬い歯質は虫歯が残っていそうでもあえて残すということです。歯にも免疫システムがあるので、歯も自ら虫歯に対して防御しようとする働きが起こるのです。それを再石灰化といいます。この再石灰化が起こると歯はさらに硬くなり虫歯の進行を止めます。理想の形ですね!
しかしながらすべてにおいて再石灰化が起こるわけではありません。また虫歯の細菌は非常に小さいので詰め物と歯の間にできる小さなギャップから二次的に感染することも多々あります。
治療時にはう触探知液という虫歯を染めだす薬を使ってできるだけ残らないように努めますが、お口の中に虫歯の細菌がいる限り二次的な感染の可能性は常にあります。
一見歯の表層に黒いものが見えたとしても慢性虫歯で進行が止まっている状態であれば、歯を削る必要はありません。現在では、歯科顕微鏡や拡大眼鏡の性能が上がり、虫歯の状態もかなり精度高く診断することができます。甘いものでしみたり、色が気になる、歯と歯の間に物が詰まるなど、何か症状がある時は早目に歯科を受診してくださいね!早期発見、早期治療は、歯の予後に著しく影響しますよ!
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